2025.05.08

フィッシング詐欺―fishing?いいえ,実は……

「フィッシング詐欺」という言葉をご存じでしょうか?
総務省によると,「送信者を詐称したメールやSMSを送りつけ,貼り付けたリンクをクリックさせて偽のホームページに誘導することで,クレジットカード番号やアカウント情報(ユーザーID,パスワードなど)などの重要な情報を盗み出す詐欺」のことだそうです。

ところで,このフィッシングという言葉,”fishing”だと思っていませんか?
実は”phishing”が正しいスペルです。
『ウィズダム英和辞典(第3版)』には,「フィッシング(詐欺)([金融機関からのメールを装い,カード番号・暗証番号などの個人情報を搾取する])」とあります。
……これって,応用のきかない単語ですよね……?

なぜこのスペルなのか気になったので,軽く調べてみました。
総務省のホームページには「魚釣り(fishing)と洗練(sophisticated)から作られた造語であるといわれています」と書いてあります。
しかし,『オックスフォード新英英辞典』には,
ORIGIN 1990s: respelling of FISHING, on the pattern of PHREAKING と書かれています。

“phreaking”とは『ジーニアス英和大辞典』によると「フリーキング《電話回線に侵入して無料使用すること》」だそうです。(恥ずかしながら初めてこの言葉を知りました)
これは”phone”と”freak(ing)”を組み合わせた語らしく,”phishing”も同様だと言うのです。

個人的には総務省の説明よりも,オックスフォード新英英辞典の説明のほうがしっくりきます。
新しい言葉の語源を調べるのは大変ですね……。

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